保育士キャリアアップ制度 保育士不足解消のための施策

保育士キャリアアップ研修と副主任・専門リーダーとは?

2023年12月19日更新

保育士キャリアアップ
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保育士不足解消のために、平成29年度から新たに、保育士のキャリアアップの仕組みとそれに伴う処遇改善制度が始まりました。

これは、国(厚生労働省)が行う施策なので、東京など一部の地方自治体だけの優遇制度ではなく、
地方も含めた全国の保育士さんのための制度です。

ニュースなどで聞いたことがある方も多いかも知れませんが、
実際はどのような制度で、誰の給料がアップするのでしょうか。

 

 

保育士キャリアアップ研修の新設

保育士不足の原因の最大の問題は、ハードな仕事にも関わらず、他業種に比べて賃金が安いことと言われてきました。

実際、28年度の厚生労働省の調査によれば、全職業の平均年収が455.1万円なのに比べて、保育士は326.8万円と発表されています。

 

会社員であれば、勤続年数に応じて段階的に役職が上がっていくのが一般的です。
それに比べて、保育士は役職がついているのは、園長や主任などごく一部というのが普通で、勤続年数に応じて給料が上がる仕組みというのができにくいという問題がありました。

 

そのため、勤続年数も他の業種に比べて短く、人材が育ちにくい、どうしても現場では若くて経験の少ない保育士が多くなるという現状がありました。

 

そこで、一般企業のような段階的に役職が上がる仕組みを保育士さんにも採用しましょうということで、今回の仕組みができたのです。

 

保育士キャリアアップのための研修と役職が新設されました

まず、キャリアアップのための研修制度が新設されました。

今後、①乳児保育 ②幼児教育③障害児保育 ④食育・アレルギー⑤保健衛生・安全対策⑥保護者支援・子育て支援⑦保育実践 ⑧マネジメントといった項目ごとに、都道府県で研修が実施されます。

そして、勤続年数と、この研修を受講していることを条件に、保育園では現在の主任保育士の下に、
副主任保育士専門リーダという役職を新設することとなりました。

副主任保育士と専門リーダーは、おおむね勤続年数が7年以上あり、園から発令を受けてその役職につくとされています。

これは勤続年数と、先ほどのキャリアアップ研修で必要な項目を履修していることなどを条件に新たに設置される役職ですが、
研修については、平成30年度から必須要件とされるそうで、29年度中は勤続年数や勤務経験に応じて決められるとされています。

この副主任保育士と専門リーダーについて、ひと月あたり4万円の手当が出るというのが基本です。

でも勤続7年というのも、結構なベテランですよね。

だからなのか、それ以前に、勤続3年以上でもつくことができる職務分野別リーダーという役職も新設され、
こちらはひと月あたり5千円の手当が国から補助されます。

参考リンク:厚生労働省 保育士等の処遇改善の推移(平成24年度との比較)

 

勤続年数と研修を満たせば誰でも貰えるわけではありません

この新設された役職とその手当ですが、誰でももらえるわけではなく、人数制限があります。

 

例えば、定員90名の私立認可保育園のモデルケースだと、職員数が17名として
副主任保育士と専門リーダーの上限は、園長と主任を除いた職員の3分の1ですので5人までとなります。

同じように職務分野別リーダーは、園長と主任を除いた職員の5分の1までということで3人が上限となります。

この上限までの役職人数分×ひと月あたりの手当の額が、国から園にまとめて支給されるのです。

 

で、ここからが、またちょっと複雑ですが、
手当を支給された保育園は、支給された手当を必ずしも役職についている人だけに支払わないといけないわけではなく、
副主任保育士と専門リーダー分として支給された分については、他の職員(園長以外)にも分けて支給しても良いとされています。

ただし、副主任のうち一人には必ず4万円を支給しなさい、と定められているのです。

ということは、役職がついてない職員でも、園が認める場合には給料がアップする可能性があるということです。

 

この制度では、保育士の離職率を下げ、今まで少なかった中堅クラスの保育士さんの給料をアップして、そのクラスの職員を増やすことが期待されています。

ただし、7年以上勤務して研修を受ければ全員が4万円をもらえるかと言えば、そうではなく、園に任されている部分も多いのです。

 

 

一度履修したキャリアアップ研修は転職や離職した場合もずっと有効

一方、平成30年度から本格的に研修がキャリアアップの要件となりますが、この研修は一度受ければ、他の都道府県に移った場合も有効です。

また、もし一旦離職した場合も、一度受けた研修は有効で、再就職の際は、研修履修済みの扱いとされるという嬉しいポイントも。
子育てなどで離職した保育士さんが再就職する際に、有利な条件で就職することに繋がることが期待されます。

 

保育士の待遇改善策として期待されるキャリアアップ制度

この保育士キャリアアップ制度は、ここ数年国が取り組んでいる保育士さん全体の待遇改善のための制度の一つです。

一方、この制度によって、ベテラン保育士さんが増えることで、サービスを受ける側(保育園に通う側)にとっても質の良い保育が受けやすくなるというメリットが期待されます。

ずっと低賃金と言われていた保育士さんの給与は、ここ数年でやっと色々見直しがなされてきています。
特に、東京では地方に比べて29年度から4万円以上賃金がアップしていますので、副主任手当の4万円が貰えれば8万円以上アップしますね。

東京では待機児童不足が深刻で、一部では保育士さんの取り合いのような状態がおきているのです。

東京で働くと家賃など生活費が高くなるのでは?と思われがちですが、現在、東京では家賃補助も手厚く、地方で働く保育士さんとはかなりの待遇差が出てきているのが現状です。

必然的に、保育士さん向けの転職フェアも東京近郊で多く開催されますが、
地方開催のフェアでも上京して就職したいという方向けのサポートがある場合もあります。

スケジュールは下の記事にまとめていますので、興味がある場合は是非足を運んでみることをおすすめします。

保育士さんのための就職転職フェア 2023年 最新スケジュールまとめ 

保育士の家賃補助と東京での給料アップの内容については下の記事に詳しく書いています。

東京都で保育士として勤務する際の優遇措置一覧 

東京都の保育士 給料 2017年度から4.4万円上乗せの内容は?

このような好待遇によって、現在では東京で勤務する保育士さんの方が、実際は自由に使えるお金が多くなるケースが多くなっています。

ただし、じゃあ上京して就職しようか、となっても、転職フェアなどに行く機会もなく、自分一人で現地のハローワークなどを頼りに求職活動をするのは、時間的にも費用的にも限界がありますよね。

そういった場合は、自宅にいながら複数の園の条件を比較しながら求職できる転職支援サービスを利用することをおすすめします。

園によって実際の家賃補助の内容など待遇は異なりますので、沢山の求人を比較して納得してから面接することをおすすめします。

地方から上京をお考えの方におすすめの転職支援サービス、【保育メトロ】についてはこちらに詳しくかいていますのでよろしければご覧くださいね。

保育メトロの詳細・おすすめポイント



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